2012年3月16日金曜日

2012-03-16 吉本隆明


随分前から、高齢で体も不自由になり、
数百メートル先のお店に歩いてたどり着くことが、一日の目標だとか、
目も不自由になり、パソコンの画面いっぱいのフォントで文章を読んでいるとか伝え聞いていて、
この日が来ることがそう遠い先でないことは覚悟していた。
しかし、事実はやはり重い。

大学時代、近くの本屋でふと目に付いた文庫本「共同幻想論」
最初、なんのこっちゃという思いと、もしかして何か真実がわかるのではという期待で読み始めた。
難解な文章でありながら、「ほんとうのこと」が書かれていると感じ、
何度も、何度も、時をおいては繰り返し繰り返し読み返した。
「心的現象論序説」は、更に難解で、購入してから積ん読のまま、
20代最後辺りでやっと読むことができた。

おそらく、氏の出版物の9割は読んでいると思う。
自分の思考回路のベースとなってしまっている。

様々な社会現象について、自身の考えを発言されているのを読んで、
そう考えればいいんだ、確かにそうだと、自分で考える事をせずに、
氏の考えを自分の考えにすり替えて安心してきた。

これからは、もう頼りにすることができない。
随分前からこうなることは勿論覚悟していた。

しかし、事実はやはり、とても重い。


感謝と共に、ご冥福をお祈りします。
どうもありがとうございました。



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